【簿記3級・020】諸掛(しょがかり)の仕訳をやさしく解説
この記事でわかること
前回は返品(仕入戻し・売上戻り)の仕訳を学びました。
今回は諸掛(しょがかり)を学びます。商品の仕入れや販売のときにかかる運賃などの費用を、「誰が負担するか」によってどう仕訳するかを確認していきましょう。
- 諸掛(仕入諸掛・販売諸掛)の違いがわかります
- 仕入諸掛の「当社負担」と「先方負担」の仕訳ができます
- 販売諸掛の「当社負担」と「先方負担」の仕訳ができます
諸掛とは

諸掛とは、商品の売買に付随してかかる費用のことだよ。運送料・荷造り費などが代表的な例だね。
仕入れのときにかかれば仕入諸掛、販売のときにかかれば販売諸掛と呼ぶよ。そして「当社が負担するか・相手方が負担するか」で仕訳の書き方が変わってくるよ。
| 種類 | 発生するタイミング | 具体例 |
|---|---|---|
| 仕入諸掛 | 商品を仕入れるとき | 仕入先からの運送料・荷物受取時の費用など |
| 販売諸掛 | 商品を販売するとき | 得意先への発送料・荷造り費など |

「当社負担」と「先方負担」って、何が違うの?

誰が最終的にその費用を払うか、という違いだよ。「当社負担」は自分が払う費用。「先方負担」は相手方(仕入先や得意先)が本来払うべきなのに、当社が一時的に立て替えた費用のことだよ。
仕入諸掛の処理

仕入諸掛のポイントは「負担が誰か」「立替金か買掛金か」で仕訳先が変わること。
当社負担なら仕入の原価に含めるし、先方負担なら立替金か買掛金で調整するよ。
当社負担の場合

当社が運賃を負担するときは、仕入の原価(取得原価)に含めるよ。運賃も「商品を手に入れるためにかかったコスト」と考えるんだ。
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 21,000 | 買掛金 | 20,000 |
| 現金 | 1,000 |
先方(仕入先)負担の場合(立替金)

仕入先が本来負担すべき運賃を当社が一時的に支払った場合は、立替金(資産)として記録するよ。「あとで返してもらえる権利」が生まれるからね。
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 20,000 | 買掛金 | 20,000 |
| 立替金 | 1,000 | 現金 | 1,000 |
先方(仕入先)負担の場合(買掛金)

掛取引の場合は、もう1つ方法があるよ。運賃分を買掛金から差し引いてしまう方法だ。
「仕入先に別途請求する」代わりに「払うべき代金をその分減らす」イメージだよ。
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 20,000 | 買掛金 | 19,000 |
| 現金 | 1,000 |

例題②と③は、どちらも先方負担なのに仕訳が違うんだね。どうやって使い分けるの?

問題文の指示で判断するよ。
「立替払いした」と書いてあれば立替金、「買掛金から差し引く」と書いてあれば買掛金を減額する方法を使うよ。どちらも正しい処理だから、指示通りに書けばOKだよ。

当社負担だと仕入が 21,000円、先方負担だと仕入が 20,000円になるんだね。
そして先方負担の場合は仕入が同じ20,000円でも、調整先が立替金か買掛金か変わるんだね。
うーん、誰がどうやって払うかでぜんぜん違うんだね。

その通り!当社負担かどうかで「仕入の原価に含めるか」どうかが決まるし、仕入先との打ち合わせで使う科目が「立替金」なのか「買掛金」が決まるよ。
販売諸掛の処理

販売諸掛は「誰が負担するか」で処理が変わるよ。
先方負担の発送費は当社が立て替えたお金なので、売上には含めないのがポイントだよ。

これは「収益認識の会計基準」という考え方に基づいているんだ。
だけど覚えなくて大丈夫。販売諸掛は「誰が負担するか」で処理が変わるということをしっかり理解しようね。
当社負担の場合

当社が発送費を負担するときは、発送費(費用)として記録するよ。売上とは別に費用が発生するイメージだ。
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 30,000 | 売上 | 30,000 |
| 発送費 | 800 | 現金 | 800 |
先方(得意先)負担の場合

得意先が本来負担すべき発送費を当社が立て替えた場合は、売上には含めず、立替分を売掛金に加算して記録するよ。
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 30,800 | 売上 | 30,000 |
| 現金 | 800 |

先方負担なのに売掛金が 30,800円になるのはなぜ? 発送費 800円も後で回収するからってこと?

そうだよ。B商店から「商品代 30,000円 + 発送費の立替分 800円」を合わせて受け取るから、売掛金は 30,800円になるんだ。
でも売上はあくまで商品を引き渡した対価の 30,000円だけ。当社が代わりに立て替えた発送費は「売上」じゃないからね。
4パターンのまとめ

仕入諸掛・販売諸掛 × 当社負担・先方負担の4パターンを表にまとめてみよう。
| 種類 | 負担者 | 処理方法 |
|---|---|---|
| 仕入諸掛 | 当社 | 仕入の原価に含める(仕入に加算) |
| 先方 (仕入先) |
①立替金として記録 ②買掛金を減額(掛取引の場合) |
|
| 販売諸掛 | 当社 | 発送費(費用)として記録 |
| 先方 (得意先) |
売上には含めず、売掛金に加算 |
練習問題で確認しよう

仕訳の?のセルをタップ(クリック)すると答えが出るよ。まずは自分で考えてから確認しよう。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
| ? | ? |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
| ? | ? | ? | ? |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
| ? | ? | ? | ? |
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
| ? | ? |

問題④の売掛金が 52,000円になるのは、商品代 50,000円 + 立替発送費 2,000円を合わせて請求するからだったね。

そうそう。売掛金はF商店から受け取る合計額だから 52,000円。でも売上はあくまで商品を引き渡した対価の 50,000円だけ。先方が負担すべき発送費は「売上」じゃないからね。
まとめ
・仕入諸掛(当社負担):仕入の原価に含める(仕入の金額に運賃を加算する)
・仕入諸掛(先方負担):立替金(資産)として記録する。仕入の金額には含めない
・販売諸掛(当社負担):発送費(費用)として別に記録する。売上の金額には含めない
・販売諸掛(先方負担):売上には含めず、立替分を売掛金に加算する
迷ったときの判断フロー
① 仕入諸掛or 販売諸掛? → 仕入のときか、販売のときかを確認
② 当社 or 先方負担?
- 当社負担→「仕入に含める」または「発送費として記録」
- 先方負担→「立替金として記録」または「売掛金に加算」

次回は、商品を注文したとき・受け取ったときの処理を学ぶよ。「先にお金を払う・受け取る」ケースを前払金・前受金の勘定科目で記録する方法を一緒に確認していこう。

