簿記の「現金」はお財布の中身だけじゃない?通貨代用証券をやさしく解説
この記事について
今まで、仕訳の流れ・勘定口座・財務諸表(損益計算書と貸借対照表)の全体像を学んできました。
ここからは少し流れを変えて、勘定科目をひとつひとつじっくり見ていくシリーズに入ります。
「全体の流れはなんとなくわかったけど、じゃあこれはどの勘定科目で仕分ければいいの?」という疑問や不安に、ここではゆっくり、ひとつずつ丁寧に確認していきます。
最初の一歩は「現金」。
身近な響きですが、「簿記上の」現金は、日常の感覚とちょっとズレがあるかもしれません。まずは一緒に見ていきましょう。
簿記上の「現金」とは?

えっ、現金ってお財布の中に入ってるお札とか小銭のことじゃないの??

日常生活の中で現金って言うとそのとおりだね。
でも簿記で使う「現金」って勘定科目は、もうちょっと広い意味を持っているんだ。

お札や小銭以外に、現金になるものがあるってことなんだね。

そうなんだ。
簿記上の「現金」はこんなものが含まれるんだ。
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 通貨 | 紙幣(お札)・硬貨(コイン) |
| 通貨代用証券 | 他人振出小切手・郵便為替証書・配当金領収書 など |

うっ!!!!!!

どうしたの?

なんか呪文がある…通貨代用証券ってなに?
ツウカダイヨウショウケン…??
なにこれ合ってる?

あってるあってる。
通貨代用証券ってなに?

通貨代用証券の漢字を分解して解読してみると
通貨の代わりになる証券だね。
つまり、「現金そのものじゃないけど、すぐ現金に換えられるもの」のことだよ。

ううぅ…わかるようでわからないような

どんなものがあるのかを知っていけば、理解が深まると思うよ。
いくつか紹介するね。
①他人振出小切手

小切手って聞いたことないかな?

ある!ドラマのお金持ちが使ってる!!

その小切手ってね、決められた銀行に持っていくとすぐに換金してもらえるんだ。

あ、だから現金扱いなんだね。
すぐ換金できる=現金扱いって言ってたもんね。

ただポイントがひとつあるよ。
現金扱いになるのは「他人振出」の小切手なんだ。

他人振出…

他人→他の人(会社や個人)
振出→発行した
つまり「誰かが発行した」ってことだね。
小切手を発行することを振り出すって言うんだけど、振り出せるのはドラマに出てきたお金持ちだけじゃなくて自分もなんだよ。

だから誰が振り出したのか分かるように名前が変わるよ。
他人が振り出した小切手は「他人振出小切手」。
自分が振り出した小切手は「自分振出小切手」だよ。

振り出したのが他人か自分かで変わるんだね。

そうなんだ。
そして変わるのは名前だけじゃなくて勘定科目もなんだ。
他人振出小切手は現金、自分振出小切手は「当座預金」になるよ。
当座預金については、また今度詳しく説明するね。

わかった!とりあえず今は、
他人振出小切手は現金
自分振出小切手は当座預金
これだけ覚えておくね!!
②郵便為替証書

次に郵便為替証書だよ。
これは郵便局が発行する証書で、書かれた金額を受け取れるんだ。
これもすぐ換金できるから、現金に含まれるよ。
③配当金領収書

さらに配当金領収書も紹介するね。
株式を持っていると、会社から配当金というものを受け取れることがあるんだ。
その受け取りに使う書類が配当金領収書だよ。
これもすぐ換金できるから現金として扱うよ。

どれもすぐに換金できるものなんだね。
このルールを覚えていれば、現金に含まれるものを見分けられそうだね。
現金取引の仕訳、やってみよう!
例題①

それじゃあ、実際に仕訳をしてみよう。
どの部分が現金になるのかよく考えてみようね。

そして大切なヒントをひとつ。
通貨代用証券は、受け取った時点で現金扱いになるよ。
例題①
商品10,000円を売り上げ、代金は他人振出小切手で受け取った

でた!他人振出小切手!!

さっき出てきた名前だね。

他人振出小切手は、誰かが発行してくれた小切手で、受け取った人が銀行ですぐお金に換えられる。
つまり通貨代用証券!あとさっきのヒントで、受け取った時点で現金って言ってた。

現金は資産グループで、増えてるから借方に10,000円でしょ。
あとは…売り上げが上がったね。売り上げの勘定科目は売上で、グループは収益。増えてるから貸方に10,000円だー!

つまり答えはこう!どーん!!
(借)現金 10,000 (貸)売上 10,000

正解〜!!
続けて次、行ってみよー!!
例題②
例題②
商品50,000円を仕入れ、代金は10,000円札5枚で支払った

ふふふ〜ん、もうわかっちゃった。
お支払いはお札を使っているからシンプルに現金だね。
現金は資産グループ、減ってるから貸方に50,000円だよ。

あとは…仕入れが発生してる!
勘定科目は仕入で、費用グループ。費用が増えてるから、借方に50,000円だね。

答えはこれ〜!
(借)仕入 50,000 (貸)現金 50,000

連続正解〜!!
じゃあこれはどうかな?
例題③
例題③
前に受け取っていた小切手30,000円を、銀行に持ち込んで換金した。

受け取っていた小切手ってことは、誰かがくれた小切手ってことでしょ?
他人振出小切手の現金30,000円…あれ?これなんか変だ。
受け取ったときに現金増えたって仕訳してあるから、換金しても何も変わらないんじゃ…

よく気付いたね。この問題の答えはこうなるよ。
仕訳なし

こんな答えあるんだ!

そうなんだよ。これも立派な答えなんだよ。

こんな感じで、お札や小銭も現金だし、通貨代用証券も現金で仕訳するよ。
クイズを解いてみよう

簿記の「現金」、掴めてきたかな?
楽しみながら学べるように、クイズを用意してみたよ。
全10問、ぜひチャレンジしてみてね。
仕分けチャレンジ!
この条件を満たすものが通貨代用証券=簿記上の「現金」です。
まとめ
・お札や硬貨などの現金はもちろん、
通貨代用証券も現金として扱う。
・通貨代用証券はすぐ現金化できるもの。
すぐ現金になるから受け取ったときの勘定科目は現金。
・自分が振り出した小切手は現金じゃない
→自分振出小切手は当座預金

現金の世界、思ってたより広かったー

そうだね。
すぐに換金できるもののイメージ、忘れずにいこう。

次回は当座預金についてお話するよ。

