【簿記3級・042】帳簿の締め切り(後編)次期繰越と前期繰越をやさしく解説
この記事について
前回は帳簿の締め切りの中編として、当期純利益の計算と、繰越利益剰余金勘定への振替(資本振替)までを学びました。
今回は帳簿の締め切り(後編)です。残高が残ったままの資産・負債・純資産の勘定を締め切って、いよいよ帳簿をパタンと閉じるところまで進みますよ。
- 「勘定を締め切る」とはどうすることか(二重線の意味)がわかります
- 次期繰越・前期繰越の記入(書く側と日付)ができます
- 帳簿の締め切りの流れを、最初から最後まで通して整理できます

前回のおさらい

ねぇねぇ、現金とか資本金の勘定には残高が残ったままだよ。どうやって締め切るの?

今日はいよいよそこをやるよ。帳簿の締め切りも最終回。まずは現在地の確認から。

残るはステップ4だけ。今日でぼくの会社の帳簿を、パタンと閉じられるんだね!

そのためにまず、「締め切る」って何をすることか――操作の意味からはっきりさせよう。
「締め切る」ってどうすること?

これまで「帳簿の締め切り」は、1年分の記録に区切りをつけること、と説明してきたね。今日はその区切りを、勘定ごとにつけていくよ。

勘定に区切りをつけるって、具体的には何をするの?

じつは、操作はとてもシンプル。これだけなんだ。
- 勘定を締め切る…借方と貸方の合計を一致させて、二重線を引くこと
- 二重線は「この勘定の今年の記入はここまで」という区切りの印

二重線…。あれ?どこかで見た気がするなあ。

よく気づいたね。前回、資本振替のあとの損益勘定に、じつはもう引いてあったんだよ。
剰余金230,000

ほんとだ!合計の下の線。説明がなかったから、飾りかと思ってたよ。

損益勘定は振替で残高ゼロ=貸借の合計がそろっていたから、二重線を引くだけで締め切り完了だったんだ。振替がすんだ収益や費用の勘定も同じだよ。

でも、現金とか資本金の勘定は残高が残ったままだよ。合計がそろわないのに、どうやって二重線を引くの?

それが今日の本題。次でじっくりやろう。
勘定を締め切ろう(次期繰越と前期繰越)

その前に、ぴよに質問。合計をそろえるために、現金の残高もゼロにして締め切っていいかな?

だめ〜!お金は来年も使うから消しちゃだめだよ〜!

そうだよね。資産・負債・純資産の残高は来年もそのまま使うよね。だから来年へ引き継ぐんだ。そのための書き方が次期繰越と前期繰越だよ。手順は3つ。
- ① 残高と反対側に、赤で「決算日の日付」「次期繰越」「金額」を記入して、貸借を一致させる
- ② 二重線を引いて締め切る
- ③ 翌期首の日付で、残高があった側に「前期繰越」と金額を記入する

さっき振替がすんだばかりの、ぴよの会社の繰越利益剰余金勘定で見てみよう。

あれ?「次期繰越」って勘定科目なの?相手の勘定科目を書くルールだったよね。

するどい質問だね。次期繰越・前期繰越は仕訳を通さない、勘定への直接の書き込みなんだ。だから相手勘定はなくて、「来年へ繰り越すよ」という意味の言葉をそのまま書くよ。

へえ、特別な書き方なんだね。残高が借方にある資産の勘定でも、やってみたい!

じゃあ、別の会社の現金勘定の例で試してみよう。1年分の記入が終わった状態だよ。

左右が逆になるだけで、手順はおんなじなんだね。

そのとおり。あわせて、細かい決まりも3つおさえておこう。
- 手書きの帳簿では、次期繰越は赤で書く決まりがある。試験のときは色分けしなくてよい
- 純資産の勘定も、資産・負債の勘定と同時に締め切る
- 次期繰越を書いて締め切ったら、翌日を待たずにすぐ、期首の日付で前期繰越を記入してよい

この次期繰越・前期繰越の記入は、試験の勘定記入の問題でもよく問われるところ。書く側と日付をセットでおさえよう。

収益・費用のグループと、資産・負債・純資産のグループで、締め切り方がちがうんだね。

いいまとめだね。2つのグループを、表で見くらべて整理しておこう。
| 収益・費用・損益 | 資産・負債・純資産 | |
|---|---|---|
| 残高は | 振替でゼロになっている | 残ったまま(来年へ引き継ぐ) |
| 貸借をそろえるには | 振替の時点でそろっている | 次期繰越を記入してそろえる |
| 二重線のあとは | おしまい | 期首の日付で前期繰越を記入 |

ぜんぶの勘定が締め切れた…ってことは?

そう、帳簿の締め切りはこれで完了。前編からの流れを、最初の図で確認しよう。

帳簿、パタン!ぼくの会社の1年目が、ぶじに閉じられたよ。

1年目おつかれさま。それじゃ、締め切りの書き方が身についたか、確認問題で試してみよう。
確認問題

それでは5問で確認してみよう。空欄をタップすると答えが出るよ。今回は仕訳ではなく、勘定への記入がメイン。問5は前編・中編とつながる発展問題。全部開くと解説リンクが出てくるよ。

次期繰越は試験と同じで色分けはなしだよ。
問1 純資産の勘定を締め切るとき
問2 資産の勘定を締め切るとき
問3 負債の勘定を締め切るとき
問4 次期繰越・前期繰越の日付
問5 振替から締め切りまで通し(発展)
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 | |
|---|---|---|---|---|
| ①売上 | ? | ? | ? | ? |
| ②仕入 | ? | ? | ? | ? |
| ③純利益 | ? | ? | ? | ? |
📖 資本振替の解説はこちら → 【簿記3級・041】帳簿の締め切り(中編)当期純利益をやさしく解説
📖 ここを読み返そう → 勘定を締め切ろう(次期繰越と前期繰越)

問5、振替から締め切りまで通しでできたよ!3回分がぜんぶつながった感じがする。

完璧だね。損益振替→資本振替→締め切り。この流れが、帳簿の締め切りのすべてだよ。
まとめ
・勘定を締め切る…借方と貸方の合計を一致させて、二重線を引くこと。二重線は「今年の記入はここまで」の印。
・収益・費用・損益勘定…振替で残高がゼロになっているので、二重線を引くだけで締め切れる。
・資産・負債・純資産の勘定…残高を来年へ引き継ぐ。
① 残高と反対側に、決算日の日付で次期繰越を記入(貸借を一致させる)
② 二重線を引いて締め切る
③ 翌期首の日付で、残高があった側に前期繰越を記入
・次期繰越・前期繰越は仕訳を通さない、勘定への直接の記入。相手の勘定科目はない。

前編・中編・後編、3回にわたった帳簿の締め切りがこれで完成!ぼくの会社の2年目は、前期繰越からスタートだね。

そのとおり。そして繰越利益剰余金の貯金箱には、1年目のもうけ230,000円が入っている。じつはこのもうけ、株主に分けることができるんだ。

えっ、積み立てたもうけを分けちゃうの!?どうやって分けるんだろう?

次回は、その「分け方」のお話だよ。
次期繰越・前期繰越の記入は試験でもよく出るから、あやしくなったら今回の確認問題でもう一度ためしてみてね。

