簿記3級

【簿記3級・042】帳簿の締め切り(後編)次期繰越と前期繰越をやさしく解説

はるり

この記事について

前回は帳簿の締め切りの中編として、当期純利益の計算と、繰越利益剰余金勘定への振替(資本振替)までを学びました。

今回は帳簿の締め切り(後編)です。残高が残ったままの資産・負債・純資産の勘定を締め切って、いよいよ帳簿をパタンと閉じるところまで進みますよ。

  • 「勘定を締め切る」とはどうすることか(二重線の意味)がわかります
  • 次期繰越・前期繰越の記入(書く側と日付)ができます
  • 帳簿の締め切りの流れを、最初から最後まで通して整理できます
中編はこちら
【簿記3級・041】帳簿の締め切り(中編)当期純利益をやさしく解説
【簿記3級・041】帳簿の締め切り(中編)当期純利益をやさしく解説

前回のおさらい

ねぇねぇ、現金とか資本金の勘定には残高が残ったままだよ。どうやって締め切るの?

今日はいよいよそこをやるよ。帳簿の締め切りも最終回。まずは現在地の確認から。

📝 帳簿の締め切りの流れ
1収益・費用の残高を「損益勘定」へ集める(振替)前編済み
21年間のもうけ(当期純利益)を計算する中編済み
3もうけを純資産の勘定へ移す(振替)中編済み
4すべての勘定を締め切る今ここ!

残るはステップ4だけ。今日でぼくの会社の帳簿を、パタンと閉じられるんだね!

そのためにまず、「締め切る」って何をすることか――操作の意味からはっきりさせよう。

「締め切る」ってどうすること?

これまで「帳簿の締め切り」は、1年分の記録に区切りをつけること、と説明してきたね。今日はその区切りを、勘定ごとにつけていくよ。

勘定に区切りをつけるって、具体的には何をするの?

じつは、操作はとてもシンプル。これだけなんだ。

  • 勘定を締め切る…借方と貸方の合計を一致させて、二重線を引くこと
  • 二重線は「この勘定の今年の記入はここまで」という区切りの印

二重線…。あれ?どこかで見た気がするなあ。

よく気づいたね。前回、資本振替のあとの損益勘定に、じつはもう引いてあったんだよ。

📝 前回の損益勘定(合計の下の線に注目!)
損益
借方(費用)
3/31 仕入450,000
3/31 給料120,000
3/31 繰越利益
剰余金
230,000
合計800,000
貸方(収益)
3/31 売上780,000
3/31 受取手数料20,000
合計800,000
左右の合計が800,000円でピッタリ一致して、その下に二重線。この線こそ「この勘定の記入はここまで」という締め切りの印だったんだよ。

ほんとだ!合計の下の線。説明がなかったから、飾りかと思ってたよ。

損益勘定は振替で残高ゼロ=貸借の合計がそろっていたから、二重線を引くだけで締め切り完了だったんだ。振替がすんだ収益や費用の勘定も同じだよ。

でも、現金とか資本金の勘定は残高が残ったままだよ。合計がそろわないのに、どうやって二重線を引くの?

それが今日の本題。次でじっくりやろう。

勘定を締め切ろう(次期繰越と前期繰越)

その前に、ぴよに質問。合計をそろえるために、現金の残高もゼロにして締め切っていいかな?

だめ〜!お金は来年も使うから消しちゃだめだよ〜!

そうだよね。資産・負債・純資産の残高は来年もそのまま使うよね。だから来年へ引き継ぐんだ。そのための書き方が次期繰越前期繰越だよ。手順は3つ。

  • ① 残高と反対側に、で「決算日の日付」「次期繰越」「金額」を記入して、貸借を一致させる
  • ② 二重線を引いて締め切る
  • ③ 翌期首の日付で、残高があった側に「前期繰越」と金額を記入する

さっき振替がすんだばかりの、ぴよの会社の繰越利益剰余金勘定で見てみよう。

📝 繰越利益剰余金勘定の締め切り(ぴよの会社・決算日3/31)
繰越利益剰余金
借方(左)
3/31 次期繰越230,000
  
貸方(右)
3/31 損益230,000
4/1 前期繰越230,000
① 残高は貸方に230,000円 → 反対側の借方に、決算日3/31の日付で「次期繰越 230,000」を記入して貸借を一致させる → ② 二重線で締め切る → ③ 翌期首4/1の日付で、貸方に「前期繰越 230,000」を記入。これで来年の帳簿はこの残高からスタートできるよ。

あれ?「次期繰越」って勘定科目なの?相手の勘定科目を書くルールだったよね。

するどい質問だね。次期繰越・前期繰越は仕訳を通さない、勘定への直接の書き込みなんだ。だから相手勘定はなくて、「来年へ繰り越すよ」という意味の言葉をそのまま書くよ。

へえ、特別な書き方なんだね。残高が借方にある資産の勘定でも、やってみたい!

じゃあ、別の会社の現金勘定の例で試してみよう。1年分の記入が終わった状態だよ。

📝 資産の勘定の締め切り(現金勘定の例)
現金
借方(左)
6/10 売上300,000
11/25 売上200,000
合計500,000
4/1 前期繰越380,000
貸方(右)
8/3 給料120,000
3/31 次期繰越380,000
合計500,000
  
資産の残高は借方にあるから、次期繰越は貸方に書いて合計をそろえ(500,000円で一致)、二重線で締め切る。前期繰越は残高があった借方へ。繰越利益剰余金のときと左右が逆なだけで、やり方は同じだよ。

左右が逆になるだけで、手順はおんなじなんだね。

そのとおり。あわせて、細かい決まりも3つおさえておこう。

  • 手書きの帳簿では、次期繰越はで書く決まりがある。試験のときは色分けしなくてよい
  • 純資産の勘定も、資産・負債の勘定と同時に締め切る
  • 次期繰越を書いて締め切ったら、翌日を待たずにすぐ、期首の日付で前期繰越を記入してよい

この次期繰越・前期繰越の記入は、試験の勘定記入の問題でもよく問われるところ。書く側と日付をセットでおさえよう。

収益・費用のグループと、資産・負債・純資産のグループで、締め切り方がちがうんだね。

いいまとめだね。2つのグループを、表で見くらべて整理しておこう。

収益・費用・損益資産・負債・純資産
残高は 振替でゼロになっている 残ったまま(来年へ引き継ぐ)
貸借をそろえるには 振替の時点でそろっている 次期繰越を記入してそろえる
二重線のあとは おしまい 期首の日付で前期繰越を記入
締め切りの印が二重線なのは、どのグループも同じ。ちがいは「残高を来年へ引き継ぐかどうか」だよ。

ぜんぶの勘定が締め切れた…ってことは?

そう、帳簿の締め切りはこれで完了。前編からの流れを、最初の図で確認しよう。

📝 帳簿の締め切りの流れ(すべて完了!)
1収益・費用の残高を「損益勘定」へ集める(振替)✔ 完了
21年間のもうけ(当期純利益)を計算する✔ 完了
3もうけを純資産の勘定へ移す(振替)✔ 完了
4すべての勘定を締め切る✔ 完了

帳簿、パタン!ぼくの会社の1年目が、ぶじに閉じられたよ。

1年目おつかれさま。それじゃ、締め切りの書き方が身についたか、確認問題で試してみよう。

確認問題

それでは5問で確認してみよう。空欄をタップすると答えが出るよ。今回は仕訳ではなく、勘定への記入がメイン。問5は前編・中編とつながる発展問題。全部開くと解説リンクが出てくるよ。

次期繰越は試験と同じで色分けはなしだよ。

問1 純資産の勘定を締め切るとき

問1
当期純利益120,000円を損益勘定から振り替えたあとの繰越利益剰余金勘定(決算日は3/31)を、締め切りたい。空欄をタップして、記入を完成させなさい。
繰越利益剰余金
3/31
  
3/31 損益120,000
4/1
💡 ヒント:決算日の日付で貸借を一致させる記入と、翌期首の日付で残高を書きもどす記入。どっちがどっちだったかな。

問2 資産の勘定を締め切るとき

問2
備品勘定(決算日は3/31)には、6/1に購入した備品300,000円が記入されている。空欄をタップして、締め切りの記入を完成させなさい。
備品
6/1 当座預金300,000
4/1
3/31
  
💡 ヒント:資産の残高は借方にある。次期繰越を書くのは、残高と同じ側かな、反対側かな。

問3 負債の勘定を締め切るとき

問3
借入金勘定(決算日は3/31)には、9/1に借り入れた400,000円が記入されている。空欄をタップして、締め切りの記入を完成させなさい。
借入金
3/31
  
9/1 当座預金400,000
4/1
💡 ヒント:負債の残高は貸方にある。問2と左右がぜんぶ逆になるだけだよ。

問4 次期繰越・前期繰越の日付

問4
次の現金勘定(決算日は3/31)を締め切ったが、次期繰越と前期繰越の日付が空欄のままである。空欄をタップして、日付を完成させなさい。
現金
7/8 売上260,000
  
合計260,000
前期繰越170,000
10/15 給料90,000
次期繰越170,000
合計260,000
  
💡 ヒント:次期繰越と前期繰越、それぞれ「いつの日付」で書くんだったかな。

問5 振替から締め切りまで通し(発展)

問5(発展)
決算において、収益と費用の残高は売上640,000円・仕入500,000円だけであった。①売上、②仕入の残高を損益勘定へ振り替え、③差額を当期純利益として繰越利益剰余金勘定へ振り替えた。それぞれの仕訳をしたうえで、繰越利益剰余金勘定(決算日は3/31、前期から繰り越された残高はないものとする)の締め切りを完成させなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
①売上
②仕入
③純利益
繰越利益剰余金
3/31
  
3/31 損益140,000
4/1
💡 ヒント:前編・中編・今回の総復習。振替は「残高と反対側に書いて消して、行き先の勘定に記入」、そのあと締め切りの手順3つだったね。

問5、振替から締め切りまで通しでできたよ!3回分がぜんぶつながった感じがする。

完璧だね。損益振替→資本振替→締め切り。この流れが、帳簿の締め切りのすべてだよ。

まとめ

勘定を締め切る…借方と貸方の合計を一致させて、二重線を引くこと。二重線は「今年の記入はここまで」の印。

・収益・費用・損益勘定…振替で残高がゼロになっているので、二重線を引くだけで締め切れる。

・資産・負債・純資産の勘定…残高を来年へ引き継ぐ。
 ① 残高と反対側に、決算日の日付で次期繰越を記入(貸借を一致させる)
 ② 二重線を引いて締め切る
 ③ 翌期首の日付で、残高があった側に前期繰越を記入

・次期繰越・前期繰越は仕訳を通さない、勘定への直接の記入。相手の勘定科目はない。

前編・中編・後編、3回にわたった帳簿の締め切りがこれで完成!ぼくの会社の2年目は、前期繰越からスタートだね。

そのとおり。そして繰越利益剰余金の貯金箱には、1年目のもうけ230,000円が入っている。じつはこのもうけ、株主に分けることができるんだ。

えっ、積み立てたもうけを分けちゃうの!?どうやって分けるんだろう?

次回は、その「分け方」のお話だよ。

次期繰越・前期繰越の記入は試験でもよく出るから、あやしくなったら今回の確認問題でもう一度ためしてみてね。

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