簿記3級

【簿記3級・043】利益の配当と利益準備金の仕訳をやさしく解説

はるり

この記事について

前回は帳簿の締め切りの後編として、すべての勘定を締め切り、1年分の帳簿を閉じるところまでを学びました。

今回は利益の配当です。会社が積み立てたもうけを株主に分けるしくみと仕訳を、場面ごとに順番に学びますよ。

  • 利益の配当とは何か・もうけの分け方をだれが決めるのかがわかります
  • 株主総会のとき・配当金を支払ったときの仕訳ができます
  • 利益準備金とは何かがわかり、純資産の中身の全体像が完成します

もうけは、だれのもの?

ねぇねぇ、前回の最後に言ってたやつ。積み立てたもうけを、株主に分けちゃっていいの?せっかく貯めたのに。

いいところに気づいたね。じつはそのもうけ、もともと株主のものなんだ。

えっ、会社が稼いだお金なのに?

株式会社の設立の回で話したとおり、株主は会社にお金を出してくれた持ち主。だから会社のもうけも、最終的には持ち主のものなんだ。

そっか。会社のものだと思ってたけど、もともと株主のものなんだね。

そのとおり。この、もうけを株主に分けることを利益の配当というよ。

  • 利益の配当…会社が稼いだもうけ(繰越利益剰余金)を、株主に分けること

配当は3つの場面で考えるよ。まずは全体の流れから見てみよう。

📝 利益の配当の流れ
1もうけを積み立てる(決算)復習だよ
2もうけの分け方を決める(株主総会)今日の中心!
3配当金を支払う(決まったあと)

あれ、1つ目の「もうけを積み立てる」は、もうやったやつだね!

よく気づいたね。だから今日は復習からスタート。場面ごとに順番に見ていこう。

配当の処理(3つの場面)

もうけを積み立てたとき(決算・復習)

配当の財源は、もうけの貯金箱=繰越利益剰余金。まずは貯金箱にもうけが貯まるまでを、ぴよの会社の決算の仕訳で振り返ろう。

例題① 決算でもうけを積み立てたとき(復習)
決算において、当期純利益230,000円を損益勘定から繰越利益剰余金勘定へ振り替えた。
借方(左)金額貸方(右)金額
損益 230,000 繰越利益剰余金 230,000
✏️ 帳簿の締め切りで学んだ資本振替だよ。これで貯金箱に、1年目のもうけ230,000円が積み立てられた状態になっている。

貯金箱に230,000円入ってる状態だね。ここから、どうやって分けるの?

株主総会で分け方が決まったとき

じつは、もうけの分け方は社長がひとりでは決められないんだ。原則として、株主総会――会社の大事なことを決める話し合いで決めるよ。

もうけは株主のものだから、持ち主にちゃんと聞いてから決めるんだね。

そういうこと。「原則として」と言ったのは、2級以上で株主総会を開かずに配当する方法も出てくるからだよ。3級は株主総会で決まる、でOK。

それじゃ、ぴよの会社の株主総会で、こう決まったとしよう。

例題② 株主総会で分け方が決まったとき
株主総会において、繰越利益剰余金を財源とした株主への配当100,000円と、利益準備金10,000円の積み立てが決議された。
借方(左)金額貸方(右)金額
繰越利益剰余金 110,000 未払配当金 100,000
利益準備金 10,000
計算:配当100,000円 + 利益準備金10,000円 = 110,000円(貯金箱から取り出す合計)
✏️ もうけの貯金箱=繰越利益剰余金(純資産)が110,000円分減って借方。取り出した分の行き先が、貸方の2つの科目だよ。

知らない科目が2つも出てきた!未払配当金と、利益準備金?

1つずつ見ていこう。まず未払配当金。株主総会で決まった時点では、配当はまだ払っていないんだ。「あとで株主に払うよ」という義務だから、負債の勘定科目だよ。

  • 未払配当金…株主総会で決まった、まだ支払っていない配当金。あとで払う義務=負債の勘定科目

決まっただけで、お金はまだ動いてないんだね。じゃあ、利益準備金は?

もうけを全部配ってしまうと、会社に余力がなくなってしまうよね。

たしかに。そのあと損が出たら、ひとたまりもないね…。

そこで法律の出番。配当をするときは、配当金の10分の1利益準備金として会社の中に残すことが決められているんだ。これは強制だよ。

  • 利益準備金…配当をするときに、配当金の10分の1を積み立てることが法律で決められている、純資産の勘定科目
  • 例題②では、配当100,000円 × 10分の1 = 10,000円を積み立てている

外に出ていく分(未払配当金)と、会社に残しておく分(利益準備金)に分かれるんだね。

いいまとめだね。ところで、ぴよの会社の貯金箱にはいくら残っているかな?

230,000円から110,000円を取り出したから…120,000円だ。あれ、全部は配らないんだね。

そこが大事なところ。配当は、もうけを全部配るとはかぎらないんだ。残った120,000円は、貯金箱にそのまま残るよ。

残った分は、これからのもうけと合わせて、また配当できるんだね。

そのとおり。それじゃ、純資産の中身の図を思い出そう。今日、この図に新しい枝が生えて完成するよ。

📝 純資産の中身は3種類
純資産
株主からもらった資本金株主から出資してもらった元手
自分で稼いだ繰越利益剰余金会社が稼いだもうけの積み立て
配当のとき積み立て利益準備金法律で会社に残すと決められた分
利益準備金は、稼いだもうけのうち、配当のときに切り分けて会社に残す分だよ。

純資産の仲間、3つそろった!どれも株主に返さなくていいお金なんだね。

そのとおり。それじゃ最後の場面、決まった配当金を支払うところにいこう。

配当金を支払ったとき

例題③ 配当金を支払ったとき
株主総会で決議された配当金100,000円を、現金で支払った。
借方(左)金額貸方(右)金額
未払配当金 100,000 現金 100,000
✏️ 「あとで払う義務」を果たしたから、未払配当金(負債)が減って借方。現金(資産)が減って貸方だよ。

株主総会のときに書いた未払配当金が、支払いで消えるんだね。

そのとおり。これで配当の3つの場面がそろったよ。確認問題で試してみよう。

確認問題

それでは5問で確認してみよう。空欄をタップすると答えが出るよ。問5は前回の締め切りとつながる発展問題。全部開くと解説リンクが出てくるよ。

問1 株主総会で配当が決まったとき

問1
株主総会において、繰越利益剰余金を財源とした株主への配当300,000円と、利益準備金30,000円の積み立てが決議された。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:貸方は「あとで払う義務」と「会社に残す分」の2つ。借方は財源から取り出す合計だよ。
📖 ここを読み返そう → 株主総会で分け方が決まったとき

問2 配当金を支払ったとき

問2
問1の株主総会で決議された配当金300,000円を、後日、現金で支払った。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:総会のときに記録した「あとで払う義務」が、支払いで消えるよ。義務が減るのはどっち側だったかな。
📖 ここを読み返そう → 配当金を支払ったとき

問3 株主総会で配当が決まったとき(別パターン)

問3
株主総会で、繰越利益剰余金を財源として次のように配当を行うことが決議された。配当金150,000円、利益準備金の積み立て15,000円。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:問題文の書き方はちがっても、やることは問1と同じ。借方は、貸方の2つを合わせた金額になるよ。
📖 ここを読み返そう → 株主総会で分け方が決まったとき

問4 決算から株主総会まで(復習つき)

問4
①決算において、当期純利益180,000円を損益勘定から繰越利益剰余金勘定へ振り替えた。②その後の株主総会において、配当120,000円と利益準備金12,000円の積み立てが決議された。それぞれの仕訳をしなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
①決算
②総会
💡 ヒント:①はもうけを貯金箱へ移す振替の復習。②の借方は、貯金箱から取り出す合計金額だよ。
📖 もうけの振替(資本振替)の解説はこちら → 【簿記3級・041】帳簿の締め切り(中編)当期純利益をやさしく解説
📖 ここを読み返そう → 株主総会で分け方が決まったとき

問5 繰越利益剰余金勘定の締め切り(発展)

問5(発展)
次の繰越利益剰余金勘定(決算日は3/31)は、6/25の株主総会で配当100,000円と利益準備金10,000円の積み立てを行い、決算で当期純利益150,000円を損益勘定から振り替えたものである。空欄をタップして、締め切りの記入を完成させなさい。
繰越利益剰余金
6/25 未払配当金100,000
6/25 利益準備金10,000
3/31
合計350,000
  
4/1 前期繰越200,000
3/31 損益150,000
  
合計350,000
4/1
💡 ヒント:貸方で増えた合計から、借方で減った分を引くと今の残高。そのあとは、締め切りの手順3つだったね。

問5、配当で減った分もちゃんと計算して、締め切りまでできたよ!

完璧だね。貯金箱は増えるだけじゃなく、配当で減ることもある。この動きがつかめれば、利益の配当はばっちりだよ。

まとめ

利益の配当…会社が稼いだもうけ(繰越利益剰余金)を株主に分けること。分け方は原則として株主総会で決める。

配当が決まったとき(株主総会)…(借)繰越利益剰余金 /(貸)未払配当金利益準備金

配当金を支払ったとき…(借)未払配当金 /(貸)現金

未払配当金…あとで払う義務なので負債利益準備金…配当金の10分の1を会社に残す決まり(強制)なので純資産

・配当は全部配るとはかぎらない。残った繰越利益剰余金は、これからのもうけと合わせて、また配当の財源になる。

・純資産の中身は3つ…資本金・繰越利益剰余金・利益準備金

配当のしくみ、わかったよ。ニュースで聞く「配当金」って、こういう仕訳だったんだね。2年目もどんどん取引を記録していくぞ〜!

その意気だね。でも、取引が増えると、仕訳や転記のうっかりミスも起きやすくなる。ミスに気づかないまま進むと、ちょっとこわいよね。

たしかに…。ぼく、ミスしてないか心配になってきた。たしかめる方法はないの?

じつは帳簿には、ミスを見つけるためのチェックのしくみがあるんだ。次回は、そのお話だよ。

前の記事はこちら
【簿記3級・042】帳簿の締め切り(後編)次期繰越と前期繰越をやさしく解説
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生きることが不安でたまらなかった私が
ちょっとでも明るい明日になりますようにと学び始めた簿記やFPについての知識をまとめています。

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