簿記3級

【簿記3級・041】帳簿の締め切り(中編)当期純利益をやさしく解説

はるり

この記事について

前回は帳簿の締め切りの前編として、すべての収益と費用の残高を損益勘定へ集めるところまで学びました。

今回は帳簿の締め切り(中編)です。損益勘定に残された借方と貸方の差額――その正体をつきとめて、1年間のもうけの行き先を帳簿に記録するところまで進みますよ。

  • 当期純利益の計算のしかたと「差額の正体」がわかります
  • 当期純利益を繰越利益剰余金勘定へ振り替える仕訳(資本振替)ができます
  • 当期純損失だったときの振替もわかります
前編はこちら
【簿記3級・040】帳簿の締め切り(前編)損益勘定をやさしく解説
【簿記3級・040】帳簿の締め切り(前編)損益勘定をやさしく解説

前回のおさらい

前回ヒミツだった損益勘定の差額230,000円、早く正体が知りたいな〜。

お待たせしてるね。答えの前に、少しだけ前回の確認をさせてね。まずは損益勘定をもう一度見てみよう。

📝 損益勘定の中身(ぴよの会社の1年目・前回のおさらい)
損益
借方(費用)
3/31 仕入450,000
3/31 給料120,000
貸方(収益)
3/31 売上780,000
3/31 受取手数料20,000
借方の費用は合計570,000円、貸方の収益は合計800,000円。左右で230,000円の差額があるんだったね。

振替で、収益と費用の残高はぜんぶこの損益勘定に集まった。ここまでが前回。では今日は、この差額がどうなるかを説明するね。

📝 帳簿の締め切りの流れ
1収益・費用の残高を「損益勘定」へ集める(振替)前回済み
21年間のもうけ(当期純利益)を計算する今ここ!
3もうけを純資産の勘定へ移す(振替)このあと
4すべての勘定を締め切る次回(後編)

もうけの計算と、行き先の記録。今日はステップ3まで進むんだね!

当期純利益を計算しよう

正体を知る手がかりは、集まった金額の意味だよ。貸方に集まったのは収益の合計、借方に集まったのは費用の合計。その差額ということは…?

収益の合計から費用の合計を引いた金額…。あっ、差額の230,000円は1年間のもうけなんだ!

そのとおり。この差額230,000円が1年間のもうけ、名前を当期純利益というよ。図で確かめよう。

📝 差額の正体=当期純利益230,000円
損益
借方(費用)
3/31 仕入450,000
3/31 給料120,000
差額230,000
貸方(収益)
3/31 売上780,000
3/31 受取手数料20,000
合計が少ない借方側に、差額230,000円分のすき間ができている。この点線のすき間こそ、当期純利益の「居場所」だよ。

じゃあ損益勘定の空いているところに、「当期純利益 230,000」って書き込めばいいんだね?

と思うよね。でも、ここが今日いちばんの注意ポイント。じつは当期純利益は勘定科目ではないんだ。

えっ!科目じゃないなら、何なの?

「収益と費用の差額」につけた名前、つまり考え方の言葉だよ。備品や建物をまとめて固定資産と呼んだけど、固定資産という科目で仕訳はしなかったよね。あれと同じだよ。

  • 当期純利益…収益−費用の差額につけた名前。勘定科目ではない
  • 勘定に実際に書き込む科目は、もうけの「行き先」で決まる(次で解説)

もうけの行き先かあ。もうけは、どの勘定にお引っ越しするんだろう?

もうけの行き先はどこ?

もうけ…当期純利益…。たしか前に、当期純利益は純資産に加わるって教わった気がするなぁ。

よく覚えてたね!もうけで増えるのはたしかに純資産なんだ。そして純資産の代表的な勘定科目は資本金だって伝えたね。

それならもうけの行き先は資本金?

それがじつはね、純資産の中身って2種類に分かれているんだ。

📝 純資産の中身は2種類
純資産
株主からもらった資本金株主から出資してもらった元手
自分で稼いだ繰越利益剰余金会社が稼いだもうけの積み立て

新しいのが出てきた!繰越利益剰余金ってなが〜い名前だね。なんでわざわざ2つに分けるの?

意味がぜんぜんちがうお金だからだよ。分けてあれば、会社がどれだけ自力でもうけを積み上げたか――会社の実力がひと目でわかるでしょ?

  • 繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)…会社が稼いだもうけを積み立てていく純資産の勘定。当期純利益の行き先はここ!

長い名前だけど、「利益を繰り越して積み立てる」って読めば、そのままの意味だね。

いい読み方だね。前に貸借対照表の回で「利益が出ると純資産が増える」と学んだけど、その増える場所が、まさにこの繰越利益剰余金なんだよ。

繰越利益剰余金へ振り替える(資本振替)

行き先が決まったから、損益勘定の残高を繰越利益剰余金勘定へ振り替えよう。手順は前回とまったく同じ。「残高と反対側に書いて消す→行き先の勘定に記入する」だったね。

損益勘定は貸方が230,000円多いから…借方に損益と書いて消して、行き先の繰越利益剰余金は貸方に書くんだね!

完璧だね。そのまま仕訳にしてみよう。

例題① 当期純利益を繰越利益剰余金勘定へ振り替えたとき
決算において、損益勘定で算定された当期純利益230,000円を繰越利益剰余金勘定に振り替えた。
借方(左)金額貸方(右)金額
損益 230,000 繰越利益剰余金 230,000
計算:800,000円(収益の合計)− 570,000円(費用の合計)= 230,000円(当期純利益)
✏️ 差額の行に書く科目は「当期純利益」ではなく繰越利益剰余金。当期純利益は勘定科目ではないから、仕訳には登場しないよ。

じつは、前回と今回の振替には、それぞれ名前がついているんだ。セットで覚えよう。

  • 損益振替(そんえきふりかえ)…収益・費用の残高を損益勘定へ移す振替。前回やったもの
  • 資本振替(しほんふりかえ)…当期純利益を繰越利益剰余金勘定へ移す振替。今回やったもの

前回のが損益振替で、今日のが資本振替だね。それで、振り替えたあとの損益勘定はどうなったの?

転記してみると、こうなるよ。

📝 資本振替を転記したあとの損益勘定
損益
借方(費用)
3/31 仕入450,000
3/31 給料120,000
3/31 繰越利益
剰余金
230,000
合計800,000
貸方(収益)
3/31 売上780,000
3/31 受取手数料20,000
合計800,000
借方に繰越利益剰余金230,000円が入って、左右の合計が800,000円でピッタリ一致。残高がゼロになった証拠だよ。

左右の合計がピッタリそろった!差額230,000円は、繰越利益剰余金勘定へお引っ越し完了だね。

そういうこと。残高がゼロになったから、損益勘定はこれで役目を終えたんだ。

当期純損失だったらどうする?

ねえ、もし費用のほうが多かったらどうなるの?もうけどころか、損しちゃった年もあるよね。

大事なところに気づいたね。収益より費用が多いときの差額は当期純損失と呼ぶよ。この場合も行き先は同じ繰越利益剰余金勘定。ただし、向きが逆になるんだ。

例題② 当期純損失を繰越利益剰余金勘定へ振り替えたとき
決算において、損益勘定で算定された当期純損失60,000円を繰越利益剰余金勘定に振り替えた。
借方(左)金額貸方(右)金額
繰越利益剰余金 60,000 損益 60,000
✏️ 純損失のときは繰越利益剰余金が借方に来る=積み立てたもうけが減る、という向き。純利益のときと左右が逆になるだけだよ。

純利益と純損失を、表で見くらべて整理しておこう。

当期純利益当期純損失
意味 収益>費用(もうけが出た) 収益<費用(損が出た)
損益勘定の残高 貸方(右)に残る 借方(左)に残る
資本振替の仕訳 借方 損益/貸方 繰越利益剰余金 借方 繰越利益剰余金/貸方 損益
繰越利益剰余金は 増える 減る
どちらも行き先は繰越利益剰余金勘定。もうければ増えて、損すれば減る、が対称になっているだけだよ。

損したら、積み立てたもうけが減っちゃうんだね。

そういうこと。もうければ増えて、損すれば減る。繰越利益剰余金は、会社のもうけの貯金箱みたいな勘定なんだ。

今日の作業はここまで。全体の流れで見ると、ステップ3まで進んだよ。

📝 帳簿の締め切りの流れ(今日はここまで)
1収益・費用の残高を「損益勘定」へ集める(振替)前回済み
21年間のもうけ(当期純利益)を計算する✔ 完了
3もうけを純資産の勘定へ移す(振替)✔ 完了
4すべての勘定を締め切る次回(後編)

残るはステップ4「すべての勘定を締め切る」だね。…でも、現金とか資本金の勘定には残高が残ったままだよ。どうやって締め切るんだろう?

そこに気づけたらもう準備ばっちり。締め切りのやり方は、次回じっくりやろう。その前に、今回のコツがつかめたか確認問題で試してみよう。

確認問題

それでは5問で確認してみよう。空欄をタップすると答えが出るよ。問5は株式会社の設立とつながる発展問題。全部開くと解説リンクが出てくるよ。

問1 当期純利益を振り替えたとき

問1
決算において、損益勘定で算定された当期純利益150,000円を繰越利益剰余金勘定に振り替えた。このときの仕訳をしなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:当期純利益が出たとき、損益勘定の残高はどちら側に多く残っているかな。残高と反対側に書いて消すんだったね。

問2 当期純損失を振り替えたとき

問2
決算において、損益勘定で算定された当期純損失30,000円を繰越利益剰余金勘定に振り替えた。このときの仕訳をしなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:純損失のときは、振替の向きが純利益のときと逆になる。繰越利益剰余金が減るのはどちら側だったかな。
📖 ここを読み返そう → 当期純損失だったらどうする?

問3 損益勘定から当期純利益を計算するとき

問3
決算において、損益勘定の貸方合計は870,000円、借方合計は690,000円であった。差額を当期純利益として繰越利益剰余金勘定に振り替えた。このときの仕訳をしなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:まずは差額の計算から。貸方(収益)と借方(費用)、どちらがいくら多いかな。
📖 ここを読み返そう → 当期純利益を計算しよう

問4 損益勘定から当期純損失を計算するとき

問4
決算において、損益勘定の借方合計は750,000円、貸方合計は710,000円であった。差額を当期純損失として繰越利益剰余金勘定に振り替えた。このときの仕訳をしなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:問3と同じく、まずは差額の計算から。今度はどちらの合計が多いかな。
📖 ここを読み返そう → 当期純損失だったらどうする?

問5 もらった元手と稼いだもうけ(発展)

問5(発展)
株式会社の設立にあたり、株式6株を1株あたり90,000円で発行し、払込金額は全額当座預金に預け入れた(払込金額の全額を資本金とする)。その後、この会社の決算において、当期純利益200,000円を繰越利益剰余金勘定に振り替えた。①設立時、②決算時のそれぞれの仕訳をしなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
①設立時
②決算時
💡 ヒント:株主からもらった元手と、会社が自分で稼いだもうけ。純資産のちがう科目に入るんだったね。①の金額は1株あたりの金額×株数。

問5、株主からもらった540,000円は資本金、自分で稼いだ200,000円は繰越利益剰余金。ちゃんと使い分けられたよ!

完璧だね。その使い分けこそ、純資産を2つに分けて記録する意味そのものだよ。

まとめ

・収益と費用の差額を表す名前(どちらも勘定科目ではない)
 「収益>費用」当期純利益
 「収益<費用」当期純損失

・差額の行き先は、どちらも繰越利益剰余金(純資産の勘定)。株主からもらった元手の資本金とは、分けて記録する。

資本振替の仕訳
 「当期純利益」借方 損益/貸方 繰越利益剰余金
 「当期純損失」借方 繰越利益剰余金/貸方 損益

・2つの振替はセットで覚える
 「損益振替」収益・費用の残高を損益勘定へ集める(前編)
 「資本振替」差額を繰越利益剰余金勘定へ移す(今回)

差額の正体もわかったし、もうけの行き先も記録できた。あとは残った勘定を締め切れば、帳簿をパタンと閉じられるんだね。

そのとおり。次回は帳簿の締め切り(後編)。残っているすべての勘定を締め切って、今度こそ帳簿をパタンと閉じるよ。

後編でも今回の繰越利益剰余金勘定が登場するから、資本振替があやしかったら、今回の確認問題をもう一度ためしてから来てね。

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ちょっとでも明るい明日になりますようにと学び始めた簿記やFPについての知識をまとめています。

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