簿記3級

【簿記3級・034】仮払金・仮受金をやさしく解説

はるり

この記事について

前回は未収入金(みしゅうにゅうきん)・未払金(みばらいきん)として、商品以外のものを売り買いしたときの、あとで受け取る代金・あとで払う代金の処理を学びました。

今回は仮払金(かりばらいきん)・仮受金(かりうけきん)です。金額や内容がまだはっきりしないお金を、いったん「仮」の科目で記録しておく処理を学びます。名前の似ている前払金・前受金との見分け方もポイントになります。

  • 仮払金(資産)・仮受金(負債)がどんなものかがわかります
  • お金を仮に払ったとき・受け取ったときと、中身がはっきりしたとき、それぞれの仕訳ができます
  • 前払金・前受金とのちがい(内容が確定しているか、いないか)がわかります

仮払金・仮受金とは

「仮払金」と「仮受金」?「仮」って付くってことは、仮のお金ってこと?

いい読みだね。どちらも、中身がまだはっきりしないお金を、いったん仮に記録しておくための科目なんだ。

中身がはっきりしないお金…?そんなことってあるの?

じつは結構あるんだよ。たとえば出張前に旅費をざっくり渡すときや、内容のわからない入金があったとき。払う側・受け取る側でこう分かれるよ。

  • 金額や使いみちが確定しないまま、先に払ったお金→仮払金(かりばらいきん/資産)
    …例:出張旅費を概算でざっくり前渡し
  • 内容(理由)がわからないまま、受け取ったお金→仮受金(かりうけきん/負債)
    …例:内容不明の振込入金

どっちも「まだはっきりしない」お金を、いったん置いておく感じなんだね。

そのとおり。そして大事なのは、はっきりしたら正しい科目に振り替えること。「仮」はあくまで一時的な置き場所なんだ。全体の流れを図で見てみよう。

📝 仮払金・仮受金の2つの場面
① お金を仮に記録するとき
仮払金:金額や使いみちが確定しないまま先に払う→ 仮払金(資産)が増える
仮受金:内容がわからないまま受け取る→ 仮受金(負債)が増える
② 中身がはっきりしたとき
仮払金:精算して金額と使いみちが確定→ 正しい科目(旅費交通費など)に振り替える
仮受金:入金の内容が判明→ 正しい科目(売掛金など)に振り替える
どちらも「いったん仮に置いて、はっきりしたら正しい科目に振り替える」流れ。ここが今回いちばん大事なポイントだよ。

①で仮に置いて、②で正しい科目に引っ越しさせるんだね。

そういうこと。それじゃあ、まず仮払金から仕訳を見ていこう。

仮払金(資産)の処理

お金を仮に払ったとき

従業員が出張に行く前に、旅費をざっくり渡しておく場面だよ。いくら使うかまだわからないから、仮払金にしておくんだ。

例題① お金を仮に払ったとき
当社は、従業員の出張にあたり、旅費の概算額30,000円を現金で前渡しした。
借方(左)金額貸方(右)金額
仮払金 30,000 現金 30,000
✏️ ポイントは、渡した時点では金額も使いみちも未確定だから、費用にせず仮払金(資産)で置いておくこと。精算までの一時的な置き場所だよ。

まだ何にいくら使うかわからないから、旅費交通費にはできないんだね。

そのとおり。費用にするのは、金額と使いみちが確定してから。次は出張から戻ってきて、精算する場面だよ。

精算したとき(中身が確定したとき)

従業員が戻ってきて「旅費に28,000円使いました」と報告してくれた場面。ここで初めて、金額と使いみちが確定するんだ。

例題② 精算したとき
従業員が出張から戻り、旅費として28,000円を使ったと報告を受け、残額2,000円を現金で受け取った。なお、旅費の概算額30,000円は例題①で前渡ししている。
借方(左)金額貸方(右)金額
旅費交通費 28,000 仮払金 30,000
現金 2,000
✏️ ポイントは、確定したら仮払金(資産)を全額消して、使った分を旅費交通費(費用)に振り替えること。残ったお金は現金で戻ってくるよ。

仮払金30,000円が、旅費交通費28,000円と現金2,000円に分かれて引っ越したんだね。

いいまとめだね。精算したら仮払金がぴったり全額なくなるのがポイント。今度は反対に、お金を受け取る仮受金を見てみよう。

仮受金(負債)の処理

内容のわからないお金を受け取ったとき

今度は、当座預金に内容不明の入金があった場面だよ。理由がわかるまで、仮受金にしておくんだ。

例題③ 内容のわからないお金を受け取ったとき
当社の当座預金口座に50,000円の入金があったが、その内容は不明である。
借方(左)金額貸方(右)金額
当座預金 50,000 仮受金 50,000
✏️ ポイントは、内容がわからないお金を売上などにせず、仮受金(負債)で置いておくこと。お金自体は入っているから、当座預金はちゃんと増やすよ。

もらった理由がわからないのに、勝手に売上とかにしちゃダメなんだね。

そのとおり。わからないまま決めつけると、帳簿がまちがってしまうからね。次は、内容がわかったときの処理だよ。

内容が判明したとき

取引先に確認したら、「売掛金の回収」だとわかった場面だよ。仮受金を消して、正しい科目に振り替えよう。

例題④ 内容が判明したとき
例題③の入金50,000円は、得意先に対する売掛金の回収であることが判明した。
借方(左)金額貸方(右)金額
仮受金 50,000 売掛金 50,000
✏️ ポイントは、判明したら仮受金(負債)を消して、正しい科目に振り替えること。売掛金の回収だったから、売掛金(資産)を減らすよ。

仮払金も仮受金も、「仮に置く→はっきりしたら振り替える」の2ステップなんだね。

そのとおり。あとは、名前の似ている前払金・前受金とのちがいを整理すれば完璧だよ。

前払金・前受金とのちがい

そういえば、前払金・前受金って前に習ったね。どこがちがうの?

いいところに気づいたね。ちがいは「確定しているかどうか」。表で見くらべよう。

前払金・前受金(既出)仮払金・仮受金(今回)
使う場面 商品売買の手付金・予約 出張旅費の前渡し、内容不明の入金など
金額や内容 相手も金額も確定している 金額や内容がまだ確定していない
あとの処理 商品を受け渡したら仕入・売上に 確定したら正しい科目に振り替える
※資産・負債の分け方はそっくり。先に払ったら前払金・仮払金(資産)、先に受け取ったら前受金・仮受金(負債)。

前払金・前受金は「確定している手付金」、仮払金・仮受金は「まだ確定していないお金」なんだね。

そのとおり。問題文に「商品の手付金」とあれば前払金・前受金、「概算」「内容不明」とあれば仮払金・仮受金。コツがつかめたか、確認問題で試してみよう。

確認問題

それでは6問で確認してみよう。空欄をタップすると答えが出るよ。「確定しているか、まだか」を毎回考えてね。問5は見分け、問6は書類から読み取る発展問題。全部開くと解説リンクが出てくるよ。

問1 お金を仮に払ったとき

問1
当社は、従業員の出張にあたり、旅費の概算額40,000円を現金で前渡しした。このときの仕訳をしなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:渡した時点では、金額も使いみちもまだ確定していないね。こういうお金は、どの置き場所に入れるんだったかな。

問2 精算したとき

問2
問1について、従業員が出張から戻り、旅費として36,000円を使ったと報告を受け、残額4,000円を現金で受け取った。このときの仕訳をしなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:報告を受けて、金額と使いみちが確定したね。仮に置いていたお金は、確定したらどうするんだったかな。
📖 旅費交通費など費用の科目の解説はこちら → 【簿記3級・015】費用の勘定科目と仕訳をやさしく解説(前編)

問3 内容のわからないお金を受け取ったとき

問3
当社の当座預金口座に70,000円の入金があったが、その内容は不明である。このときの仕訳をしなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:お金は入ってきたけれど、理由がまだわからないね。理由がわかるまで、どの置き場所に入れるんだったかな。

問4 内容が判明したとき

問4
問3の入金70,000円は、得意先に対する売掛金の回収であることが判明した。このときの仕訳をしなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:理由がはっきりしたね。仮に置いていたものは、はっきりしたらどうするんだったかな。

問5 商品の手付金を払ったとき(見分け問題)

問5
当社は、商品100,000円を注文し、手付金として20,000円を現金で支払った。このときの仕訳をしなさい。
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:先に払ったお金だけど、今回は相手も金額も確定しているね。商品売買の手付金に使う科目を思い出そう。
📖 前払金・前受金の解説はこちら → 【簿記3級・021】前払金・前受金の仕訳をやさしく解説

問6 報告書と領収書から精算するとき(発展)

問6(発展)
従業員の出張にあたり、旅費の概算額45,000円を仮払金として前渡ししていた。従業員が出張から戻り、次の報告書と領収書を提出したので精算し、残額を現金で受け取った。このときの仕訳をしなさい。
旅費交通費等報告書
所属:営業部 氏名:山田 太郎
移動先など手段など領収書金額
○○駅→△△駅電車12,000
△△ホテル宿泊18,000
△△駅→○○駅電車12,000
合計42,000
領収書
山田 太郎 様
宿泊費 18,000円
上記のとおり領収いたしました。
△△ホテル
借方(左)金額貸方(右)金額
💡 ヒント:書類が増えても、やることは問2と同じだよ。報告書の合計額が「使った金額」、概算額との差額が「戻ってくる金額」だね。
📖 旅費交通費など費用の科目の解説はこちら → 【簿記3級・015】費用の勘定科目と仕訳をやさしく解説(前編)

問6は書類が出てきてドキッとしたよ。でも報告書の合計を拾ったら、あとは問2と同じだったね。

その調子!本試験でも、こういう書類から仕訳を読み取る問題が出るんだ。「合計が使った金額」とつかめれば怖くないよ。

まとめ

仮払金・仮受金のポイント

仮払金(資産):金額や使いみちが確定しないまま、先に払ったお金。精算して確定したら、旅費交通費などの正しい科目に振り替える。

仮受金(負債):内容がわからないまま受け取ったお金。内容が判明したら、売掛金の回収などの正しい科目に振り替える。

・どちらも「いったん仮に置いて、あとで正しい科目に振り替える」のが最重要ポイント。相手も金額も確定している前払金・前受金(商品売買の手付金)とは、「確定しているかどうか」で見分ける。

「仮払金・仮受金は一時的な置き場所」って考えたら、すんなり覚えられたよ。はっきりしたら、ちゃんと引っ越しさせるんだね!

それはよかった。

次回は利益にかかる税金(法人税等・ほうじんぜいとう)について学ぼう。会社のもうけにかかる税金の処理だよ。今回学んだ「仮に払っておく」考え方が、そのまま大活躍するんだ。

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