【簿記3級・035】法人税等(ほうじんぜいとう)の仕訳をやさしく解説
この記事について
前回は仮払金(かりばらいきん)・仮受金(かりうけきん)として、まだはっきりしないお金をいったん仮に記録しておく処理を学びました。
今回は法人税等(ほうじんぜいとう)について学びます。会社の利益にかかる税金の処理では、前回の「仮に払っておく」考え方と、以前学んだ「まだ払っていない分を負債にしておく」考え方が、そのまま大活躍します。
- 会社の利益にかかる税金(法人税・住民税・事業税)を、まとめて法人税等として処理することがわかります
- 中間納付・決算・確定申告という3つの場面、それぞれの仕訳ができます
- 仮払法人税等(資産)・未払法人税等(負債)の役割がわかります
法人税等とは

法人税等?会社も税金を払うの?

そうだよ。会社は1年間のもうけ(利益)に応じて税金を納めるんだ。代表はこの3つだよ。
- 法人税…会社の利益にかかる、国に納める税金
- 住民税…会社のある都道府県や市町村に納める税金
- 事業税…会社が事業を行っていることに対してかかる税金

3つもあるんだ…。全部別々に仕訳するの?

そこは安心して。簿記3級では、3つまとめて法人税等(ほうじんぜいとう)という1つの科目で処理するんだ。

まとめてくれるのは助かる〜。法人税等って名前で覚えればいいんだね。

正式には「法人税、住民税及び事業税」という長い名前なんだ。試験ではどちらも正解だから、問題で指定された科目名を使ってね。

わかった!それで、いつ納めるの?

いい質問だね。利益が確定するのは決算のとき。だから納付は、決算をはさんで3つの場面に分かれるんだ。図で見てみよう。

ほんとだ、①で仮に払って、②と③で精算してる。仮払金の流れと似てるね。

そのとおり。それじゃあ①の中間納付から、順番に仕訳を見ていこう。
中間納付したとき(期の途中)

多くの会社は、1年分の確定を待たずに、期の途中で見込みの分をいったん納めるんだ。これを中間納付というよ。

まだ利益が確定していないのに払うの?

そう、だから金額はあくまで見込み。前の年の税額の半分を納めるのが代表的だよ。仕訳を見てみよう。
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仮払法人税等 | 120,000 | 現金 | 120,000 |

「確定していないお金を仮に払う」…やっぱり仮払金と同じ考え方だ!

そのとおり。仮払法人税等は「税金専用の仮払金」というイメージでOK。次は、決算で税額が確定する場面だよ。
決算で税額が確定したとき

決算で1年分の利益が確定すると、税額も確定する。ここが今回いちばんの山場だよ。

確定したら、中間納付した分はどうなるの?

確定した税額から中間納付ずみの分を引いて、残りを「まだ納めていない分」として記録するんだ。例題で見てみよう。
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 法人税等 | 250,000 | 仮払法人税等 | 120,000 |
| 未払法人税等 | 130,000 |

まだ払っていない分を負債にしておくのは、未払金と同じ考え方だね。

そのとおり。未払法人税等は「税金専用の未払金」というイメージだよ。最後は、この残りを納める場面だね。
確定申告で納付したとき(決算のあと)

決算のあと、会社は税務署に『利益はこれだけでした』と確定申告をして、残りの税金を納めるんだ。仕訳はシンプルだよ。
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払法人税等 | 130,000 | 現金 | 130,000 |

仮に払って、確定して、残りを納めて…3つの場面がひとつの流れになってるんだね。

そういうこと。3つの場面を表で整理しておこう。
3つの場面を整理しよう
| ① 中間納付 | ② 税額の確定 | ③ 確定申告・納付 | |
|---|---|---|---|
| いつ | 期の途中 | 決算日 | 決算のあと(2か月以内) |
| すること | 見込みの分を先に納める | 1年分の税額が確定する | 残りの税金を納める |
| 使う科目 | 仮払法人税等(資産)が増える | 法人税等(費用)を計上し、仮払法人税等を消して、残りは未払法人税等(負債)に | 未払法人税等が減る |

「税金専用の仮払金と未払金の組み合わせ」って考えたら、スッキリした!

その調子。コツがつかめたか、確認問題で試してみよう。
確認問題

それでは5問で確認してみよう。空欄をタップすると答えが出るよ。問5は税金の見分けにチャレンジする発展問題(できなくても大丈夫)。全部開くと解説リンクが出てくるよ。
問1 中間納付したとき
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
問2 決算で税額が確定したとき
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
| ? | ? |
問3 確定申告で納付したとき
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
問4 決算で税額が確定したとき(練習)
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
| ? | ? |
問5 固定資産税を納めたとき(発展)
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |

問5でひっかかりそうになったよ。会社が納める税金は、全部法人税等かと思った…。

そこがねらいだよ。法人税等になるのは利益にかかる税金だけ。固定資産税のように、利益と関係なくかかる税金は租税公課(費用)で処理するんだったね。
まとめ
・法人税等:会社の利益にかかる法人税・住民税・事業税を、まとめて処理する費用の科目。1年分の税額は決算で確定する。
・3つの場面:①中間納付=仮払法人税等(資産)で仮に記録 ②決算=確定額を法人税等で計上し、仮払法人税等を消して残りを未払法人税等(負債)に ③確定申告=納付して未払法人税等を減らす。
・「仮に払って、確定したら精算する」のは仮払金、「まだ払っていない分を負債にしておく」のは未払金と同じ考え方。利益と関係なくかかる税金(固定資産税など)は租税公課で処理する。

新しい科目が3つ出てきたけど、仮払法人税等と未払法人税等は「税金専用の仮払金と未払金」って考えたら、すんなり覚えられたよ!

それはよかった。
次回は消費税(しょうひぜい)について学ぼう。買い物でおなじみの税金を、会社の帳簿ではどう記録するのかを見ていくよ。じつは、ここでも「仮」の科目が大活躍するんだ。

