【簿記3級・030】貸付金・借入金をやさしく解説
この記事について
前回は電子記録債権・電子記録債務として、代金の支払い・受け取りを紙ではなく電子データで記録するしくみを学びました。
今回は貸付金(かしつけきん)・借入金(かりいれきん)です。これまでは商品の売り買いから生まれる債権・債務でしたが、今回は「お金そのものを貸し借りしたとき」の処理を学びます。お金を貸した側・借りた側で立場が鏡のように対応するのは、手形や電子記録とまったく同じパターンなので、安心して読み進めてくださいね。
- 貸付金(資産)・借入金(負債)がどんなものかがわかります
- お金を貸した側・借りた側、それぞれの仕訳ができます
- 利息の計算(元本×年利率×期間)と、受取利息・支払利息の仕訳ができます
「お金を貸す・借りる」という、日常でもイメージしやすいテーマです。利息の計算も、かけ算ひとつでできるようになりますよ。
貸付金・借入金とは

これまでは商品の売り買いのお話だったけど、今回は「お金を貸し借りする」お話なんだね。今までとぜんぜん違うのかなぁ、なんか心配…。

テーマは変わったけど、実はこれまでとそっくりの考え方だから安心してね。会社どうしのお金の貸し借りって、意外とよくあるんだ。使う科目は2つだけだよ。

2つって、貸す側と借りる側で分かれる感じ?

そうそう、そのとおり。それぞれ、こんな意味だよ。
- お金を貸した側→貸付金(かしつけきん/資産)
…あとで返してもらえる権利 - お金を借りた側→借入金(かりいれきん/負債)
…あとで返さなければならない義務

お金の貸し借りでは、ふつう借用証書(しゃくようしょうしょ)という、約束を書いた紙を取り交わすよ。まずは図で全体を見てみよう。
を渡す →
を返す

ほんとだ、手形のときの図とそっくり!貸した側が資産、借りた側が負債になるんだね。あと、返すときに「利息」っていうのが出てきたよ。

そう、そこが今回の新しいポイントだよ。お金を借りたら、お礼として元本に少し上乗せして返すんだ。この上乗せ分が利息(りそく)だよ。

その利息も、貸した側と借りた側で名前が変わるの?

いい勘だね。立場でこう分かれるんだ。
- 貸した側の利息=もうけ→受取利息(うけとりりそく/収益)
- 借りた側の利息=かかった費用→支払利息(しはらいりそく/費用)

利息の金額は計算して出すんだけど、その計算のしかたはあとで説明するね。まずは貸した側の仕訳から、順番に見ていこう。
お金を貸した側(貸付金)の処理
お金を貸したとき

まずは、当社が取引先にお金を貸す場面だよ。借用証書を受け取って、現金を渡したとしよう。
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 貸付金 | 1,000,000 | 現金 | 1,000,000 |

貸した時点では、利息はまだ出てこないんだね。

いいところに気づいたね。利息は「貸していた期間」に対して発生するから、ふつうは返済のときにまとめて受け取るんだ。だから貸した時点では、元本だけを動かせばいいんだよ。
返済を受けたとき(利息も受け取る)

では、約束の期日がきて、A社から元本と利息をまとめて返してもらう場面だよ。利息は次のように計算するんだ。
利息=元本 × 年利率 × 期間
受取額=元本1,000,000円+利息30,000円=1,030,000円
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,030,000 | 貸付金 | 1,000,000 |
| 受取利息 | 30,000 |

貸していたお金と、お礼の利息を一緒に受け取るから、現金は2つの科目の合計金額になるんだね。

そのとおり。借方と貸方の金額がバッチリ一致して、仕訳にミスがないこともわかるね。
お金を借りた側(借入金)の処理
お金を借りたとき

今度は反対の立場、お金を借りる側を見ていこう。当社がB銀行からお金を借りて、借用証書を渡す場面だよ。
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,000,000 | 借入金 | 1,000,000 |

ほんとだ!貸した側の例題①は「貸付金/現金」、借りた側はその左右がそっくり入れかわって「現金/借入金」になってる。

その通り!同じ貸し借りを、貸した側と借りた側の両方から見ているからね。だから科目も貸借も、ちょうど逆になるんだ。手形の「支払手形/受取手形」と同じだよ。
返済したとき(利息も支払う)

期日がきたので、B銀行に元本と利息をまとめて返す場面だよ。利息の計算は貸したときも借りたときも同じだよ。
利息=元本 × 年利率 × 期間
支払額=元本1,000,000円+利息30,000円=1,030,000円
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 借入金 | 1,000,000 | 現金 | 1,030,000 |
| 支払利息 | 30,000 |

貸した側は利息が「受取利息(収益)」で、借りた側は「支払利息(費用)」なんだね。同じ30,000円なのに、立場でよぶ名前が変わるんだ。

そこがポイント。貸した側にはもうけ(収益)、借りた側には負担(費用)。だから「自分はどっちの立場か」を最初に確認すれば、受取利息か支払利息かで迷わないよ。
利息の計算

さっきからサラッと利息が計算されてるけど、いつでも利息 = 元本 × 年利率 × 期間 の計算で大丈夫?

そうなんだ。利息の計算は試験でもよく出るんだけど、公式はそれ1つだけなんだ。

ただ、3つの言葉の意味、それだけは押さえてね。
- 元本(がんぽん)…貸した・借りた金額そのもの
- 年利率(ねんりりつ)…1年あたり何%の利息がつくか
- 期間…貸し借りした長さ(年・月・日)

さっきの例(元本1,000,000円・年利率3%・期間1年)を、図にあてはめてみるね。

なるほど、3つをかけるだけなんだ。でも、ちょうど1年じゃなくて「8か月だけ借りた」みたいなときはどうするの?

大事な質問だね。年利率は「1年あたり」の率だから、1年に満たないときは少し調整がいるんだ。

月数で示されたときは「○か月 ÷ 12」をかければOK。これを月割(つきわり)というよ。たとえば期間が8か月なら、こうなるね。

「8か月 ÷ 12」をかければいいんだね。これなら自分でも計算できそう!

いい調子だよ。もうひとつ、期間が「○日」と日数で示されることもあるんだ。そのときは「○日 ÷ 365」をかけてね。これを日割(ひわり)というよ。たとえば期間が73日なら、こうなるよ。

月のときは ÷12、日のときは ÷365 なんだね。期間の単位を見て使い分ければいいんだ。

そういうこと。公式は「元本 × 年利率 × 期間」のひとつだけだから、1年未満のときは問題文の指定(か月・日数)に合わせて期間を調整すればいいんだ。それじゃ、貸した側・借りた側を表で整理しよう。
| 貸した側(貸付金・資産) | 借りた側(借入金・負債) | |
|---|---|---|
| 貸す・借りるとき | 貸付金(資産)の増加 → 借方 現金などの減少 → 貸方 |
現金などの増加 → 借方 借入金(負債)の増加 → 貸方 |
| 返済のとき (利息込み) |
現金などの増加 → 借方 貸付金(資産)の減少 → 貸方 受取利息(収益) → 貸方 |
借入金(負債)の減少 → 借方 支払利息(費用) → 借方 現金などの減少 → 貸方 |

表にすると、貸した側と借りた側がきれいに鏡みたいになってるのがよくわかるね!利息も、片方が受取利息で片方が支払利息だ。

そう、手形や電子記録と同じで「自分はどっちの立場か」をまず確認するのがコツだよ。それじゃあ、確認問題で手を動かしてみよう。
確認問題

それでは4問で確認してみよう。空欄をタップすると答えが出るよ。まず「自分は貸した側か、借りた側か」を考えて、利息の問題は「元本×年利率×期間」で計算してね。全部開くと、解説リンクが出てくるよ。
問1 お金を貸したとき(貸した側)
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
問2 利息とともに返済を受けたとき(貸した側・1年)
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
| ? | ? |
問3 利息とともに返済したとき(借りた側・月割)
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
| ? | ? |
問4 利息とともに返済したとき(借りた側・日割)
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| ? | ? | ? | ? |
| ? | ? |

できた!「貸した側=貸付金・受取利息」「借りた側=借入金・支払利息」って区別できれば、あとは利息を計算して、増える・減るで貸借を決めるだけだね。

その通り!まず立場を見分けて、利息は「元本×年利率×期間」で計算する。期間が1年未満なら、か月は÷12、日数は÷365で調整。この流れがつかめれば、貸付金・借入金の問題はもう大丈夫だよ。
まとめ
・貸付金(資産):お金を貸した側の「あとで返してもらえる権利」。
・借入金(負債):お金を借りた側の「あとで返さなければならない義務」。
・受取利息(収益):お金を貸したお礼にもらえるお金。
・支払利息(費用):お金を借りたお礼に支払うお金。
・利息=元本 × 年利率 × 期間。期間が1年未満のときは問題文に合わせて調整する。(例:月割・日割)
・1件の貸し借りで、貸した側と借りた側が鏡合わせのように対になる関係。(手形・電子記録と同じ。)

お金そのものの貸し借りも、手形や電子記録と同じように考えればいいってわかって安心だったー。

それはよかった。
次回も今までの勉強がいきてくるよ。手形貸付金・手形借入金について学ぼう。今回の貸付金・借入金と、前々回に学んだ約束手形が合体したテーマなんだ。
不安だったら次に進む前に見返してみてね。

