簿記3級

【簿記3級・026】固定資産(前編)減価償却の計算と仕訳をやさしく解説

はるり

この記事について

前回は商品売買の確認問題に取り組みました。

今回は固定資産(前編)を学びます。固定資産とはなにか、そして毎年少しずつ費用にしていく「減価償却」の計算と仕訳のしくみを、順番に見ていきましょう。

  • 固定資産とはなにか、どんな種類があるかがわかります
  • 定額法による減価償却費の計算ができます
  • 間接法で減価償却を記録する仕訳ができます

固定資産とは

「固定資産」って、どんな資産のことをいうの?

会社が長期間(1年を超えて)使うことを目的に持っている資産のことだよ。パソコン・デスク・建物・営業車…こういったものが固定資産にあたるね。

そもそも資産は大きく「流動資産」と「固定資産」のグループに分けられるんだ。今回学ぶのは、この固定資産というグループのことだよ。

だから「固定資産」は勘定科目そのものではないんだ。
仕訳に登場するのは「備品」「建物」「車両運搬具」などの固定資産グループの勘定科目だよ。

固定資産はグループ名で、勘定科目の「固定資産」はないんだね。

そうだね。
ちなみに固定資産グループの勘定科目の主なものをまとめるとこんな感じだよ。

勘定科目主な内容減価償却
建物 事務所・店舗・倉庫など あり
備品 パソコン・デスク・コピー機など あり
車両運搬具 営業車・トラックなど あり
土地 建物の敷地・駐車場など なし

建物も備品も前にでてきたね。

でも減価償却…これ初めて見るやつだ!しかも漢字がむずかしい!なんて読むんだろー。

「げんかしょうきゃく」って読むよ。
この減価償却は固定資産ならではの大事な考え方だよ。

たとえばパソコンを300,000円で買っても、使っているうちにだんだん古くなって価値が下がるよね。その「価値が下がる分」を毎年少しずつ費用として記録していくのが減価償却なんだ。

土地は使っても価値が減らないから、減価償却の対象外だよ。

一度に費用にしないで、毎年少しずつにするのはどうして?

パソコンは何年か使うよね。だから使う予定の年数を決めて、その間、毎年少しずつ価値が下がった分を費用として記録するのが、実態に合っているんだ。

買った年だけドーンと費用にしてしまうと、その年だけ損益がおかしくなってしまうからね。

固定資産の処理

購入時の処理

固定資産を買ったときは、今までの資産の仕訳と同じで、その科目を借方に記録するだけだよ。

例題① 固定資産の購入
備品(パソコン)300,000円を現金で購入した。
借方(左)金額貸方(右)金額
備品 300,000 現金 300,000
✏️ 「備品」は固定資産グループの勘定科目。購入時点では費用にせず、資産として記録するよ。

ここで記録される備品の金額を、取得原価と呼ぶよ。固定資産をいくらで買ったのかという金額のことだね。

建物や車両運搬具を買ったときも、同じように考えるよ。

ここで一つポイントがあるよ。固定資産を買うときに本体代金以外にかかった費用(付随費用)がある場合は、それも含めて取得原価にするんだ。搬入費や設置費がかかっていたら、本体代金に足して記録するよ。

例題② 固定資産の購入(付随費用あり)
備品(コピー機)300,000円を掛けで購入した。搬入費20,000円は現金で支払った。
借方(左)金額貸方(右)金額
備品 320,000 未払金 300,000
現金 20,000
✏️ 取得原価:300,000 + 20,000 = 320,000円。搬入費を別の費用科目にしないで、備品に含めるのがポイントだよ。

あれ?「掛けで購入した」のに、貸方が買掛金じゃなくて未払金になってるよ?

いいところに気づいたね!
買掛金は「商品」を仕入れたときの後払い専用の科目なんだ。

固定資産は売るための商品ではないよね。商品以外のものを後払いで買ったときは「未払金」を使うよ。試験でもよく問われる大事な区別だから覚えておこうね。

取得原価は固定資産を買うためにかかった全ての費用を足した金額なんだね。

請求書から仕訳するとき

実際の請求書って、本体代金と搬入費が別々の行に書いてあることが多いよね。そのままの金額で仕訳するの?

請求書に複数の項目が書いてあっても、固定資産を使えるようにするためにかかった費用は全部まとめて取得原価にするよ。考え方はさっきと同じだね。

取得原価の計算
取得原価 = 購入代価 + 付随費用(搬入費・設置費など)

試験では、こんな請求書が問題に出てくるよ。実際に見ながら仕訳してみよう。

御請求書
△△商事株式会社 御中
品名金額
オフィスデスクセット 200,000円
搬入設置費 15,000円
合計 215,000円
✏️ 行が分かれていても、ぜんぶまとめて「備品 215,000円」として記録するよ。
例題③ 請求書からの処理
事務用デスクセットを購入し、上の請求書を受け取った。代金は後日支払うこととした。
借方(左)金額貸方(右)金額
備品 215,000 未払金 215,000
✏️ 取得原価:200,000 + 15,000 = 215,000円。設置費を別の費用科目で記録するのは誤りだよ。「代金は後日支払う」だから、商品以外の後払い=未払金だね。

決算時の処理(減価償却)

① 定額法による減価償却費の計算

毎年少しずつ費用にするって言ってたけど、どうやって金額を決めるの?

簿記3級では定額法という方法を使うよ。
毎年同じ金額を費用にする方法で、計算式はこうなるよ。

定額法の計算式
減価償却費 = (取得原価 ー 残存価額) ÷ 耐用年数

新しい言葉がたくさん出てきたー。

減価償却費っていうのは、さっき言ってた価値が下がった分を費用にしたもの?取得原価がええっと…。あと耐用年数と残存価額ってなんのことー?

減価償却費の理解はばっちりだよ。他の言葉も一つずつ確認しようね。

取得原価は固定資産を買ったときの金額だよ。付随費用がある場合はそれも含めるよ。例題②のコピー機なら取得原価は320,000円だったね。

耐用年数は何年使えるかの見込み年数だよ。実務では税金のルールで資産の種類ごとに目安が決められているんだけど、簿記3級では必ず問題文の中で設定されているからそれを確認してね。

残存価額は使い終わった後に残る価値のことだよ。こちらも問題文で指定されるから、その数字を使って計算してね。

では例題②のコピー機(取得原価320,000円)を耐用年数4年、残存価額0円として計算してみよう。

計算例①(残存価額0円の場合)
取得原価:320,000円 耐用年数:4年 残存価額:0円
減価償却費 = (320,000 ー 0) ÷ 4 = 80,000円(毎年この金額を費用に計上する)

残存価額が0円以外の場合も見てみよう。

計算例②(残存価額が取得原価の10%の場合)
取得原価:320,000円 耐用年数:4年 残存価額:取得原価の10%(=32,000円)
減価償却費 = (320,000 ー 32,000) ÷ 4 = 288,000 ÷ 4 = 72,000円

残存価額が0円なら、計算式は取得原価÷耐用年数だけでいいんだね。残存価額がある場合は先に引くんだね。

そうだよ。問題文をよく読んで、残存価額がいくらか確認してから計算しようね。

はーい。これで1年ごとに費用にする金額がわかったんだね。

でもこれっていつ使うの?
しかも何年にもわたって費用にしていくって、気が長いお話だよね。忘れちゃわないのかな?

ここで計算した減価償却費を使うのは決算のタイミングだよ。全体の流れを図にするとこうなるよ。

📅 減価償却の全体像(コピー機:取得原価320,000円・耐用年数4年・残存価額0円)
購入備品
320,000円
1年目の決算費用
80,000円
2年目の決算費用
80,000円
3年目の決算費用
80,000円
4年目の決算費用
80,000円
毎年の決算で80,000円ずつ、4回に分けて合計320,000円を費用にしていく。

そして「どれだけ費用にしたか」を忘れないために、減価償却累計額(げんかしょうきゃくるいけいがく)という勘定科目を使って管理していくんだ。

② 減価償却の処理方法(間接法)

決算のときに減価償却費を反映させるんだね。
減価償却累計額っていう新しい勘定科目もその時に使うの?

そうだよ。仕訳の形はとてもシンプルだから、先に見てみよう。

例題④ 減価償却(間接法)
決算にあたり、備品(コピー機:取得原価320,000円、耐用年数4年、残存価額0円)の減価償却を行う。
借方(左)金額貸方(右)金額
減価償却費 80,000 備品減価償却累計額 80,000
✏️ 「減価償却費」は費用の科目。この仕訳を、備品が手元にある間は毎年の決算で繰り返すよ。

借方の減価償却費は費用だからわかるよ。
でも貸方…「備品」を直接減らすんじゃないんだね?

そこが今回いちばんのポイントだよ。

備品の金額を直接減らすのではなく、「減価償却累計額」という別の科目に積み上げて、間接的に減った分を表すんだ。だからこの方法を間接控除法(間接法)と言うよ。

直接減らす方法は「直接法」と言うけど、簿記3級では間接法だけ覚えておけば大丈夫だよ。

減価償却累計額は、頭に対応する勘定科目名を付けて、何を管理しているのか分かるようにして使うよ。今回は備品だから「備品減価償却累計額」になるね。

あと、減価償却累計額は資産のマイナスを表す科目なんだ。資産は増えるときに借方(左)だったよね。累計額はその逆で、資産を減らす方向に働くから、貸方(右)に積み上がっていくよ。

資産のマイナスって今までにない考え方だね。
でも、なんでわざわざ別の科目に分けるの?備品を直接減らした方が簡単じゃない?

別の科目に分けると、「もとの取得原価」と「今まで費用にした合計額」が両方見えるからだよ。

コピー機の4年間を表にするとこうなるよ。

決算その年の
減価償却費
減価償却累計額
(合計)
帳簿に残る価値
1年目80,00080,000240,000
2年目80,000160,000160,000
3年目80,000240,00080,000
4年目80,000320,0000

累計額が毎年80,000円ずつ積み上がって、そのぶん帳簿に残る価値が減っていくんだね。

その「帳簿に残る価値」のことを帳簿価額と言うよ。取得原価から減価償却累計額を引いて計算するんだ。

帳簿価額の計算
帳簿価額 = 取得原価 ー 減価償却累計額

例)コピー機の3年目の決算後の帳簿価額
減価償却累計額:80,000 × 3年 = 240,000円
帳簿価額:320,000 ー 240,000 = 80,000円

ちょっと遡るけど、以前に貸借対照表はある一定時点の記録表だって言ったのを覚えているかな?

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間接法で記録しておくと、貸借対照表ではこんなふうに表示されるんだ。3年目の決算後で見てみよう。

貸借対照表(3年目の決算後・資産の部の一部)
備品 320,000
 減価償却累計額 △240,000
差引 80,000
△はマイナスの意味。「もとの取得原価320,000円」「今まで費用にした240,000円」「今の帳簿価額80,000円」が全部読み取れる。

ほんとだ!もとの値段も、今までに費用にした分も、今の価値も、ぜんぶ一度に見えるんだね。

それが間接法のいいところなんだ。
備品を直接減らしてしまうと「今いくらか」しか分からなくなっちゃうからね。

まとめ

固定資産(前編)のポイント

固定資産とは会社が長期間使う資産の分類(グループ名)。仕訳では備品・建物・車両運搬具などの科目を使う

購入時:固定資産の科目を借方に記録。付随費用も取得原価に含める。請求書の行が分かれていてもまとめて取得原価にする

・商品以外の後払いは未払金(商品の掛けで使う買掛金ではない)

減価償却費(定額法):(取得原価 ー 残存価額) ÷ 耐用年数。残存価額は問題文で確認する

決算時(間接法):減価償却費 / 〇〇減価償却累計額(〇〇は固定資産の勘定科目名に合わせて変わる)。この仕訳を毎年繰り返す

帳簿価額 = 取得原価 ー 減価償却累計額

ねえねえ、固定資産を使い終わる前に売ったりしたら、どうなるの?

それは次回(後編)で学ぶよ。固定資産を売るときの仕訳と、資本的支出・収益的支出のお話だね。

今回覚えた帳簿価額と減価償却累計額が後編でも活躍するから、しっかり押さえておいてね。

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【簿記3級・025】商品売買を確認問題で振り返ろう
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