FPって何をする人?独占業務って?できること・できないことをやさしく解説

この記事について
私たちの人生には様々なイベントが発生します。結婚、出産、子育て、進学、住宅購入、老後…。
そしてそれを資金計画の面から支えるFPは、様々な分野の知識で顧客にアドバイスを行います。
この記事は、そんなFPがアドバイス上注意すべき点や、私たちを守る法律について詳しく説明しています。何をしてはいけないのか、どんな法律が私たちを助けてくれるのか。この記事を読めばきっとそれが見えてきます。
FPって何をする人?守るべき事とは
FPは何をする人?

この前、ライフイベント表とキャッシュフロー表について教えてもらったよね。

そうだね。自分の人生に必要な金額を見直そうっていうお話で説明したね。


ぼく、お金の悩みを誰かに相談したの初めてだったんだ。
みんな、そういう悩みはどうしてるのかな。

実は、私も同じように金銭面で悩んだことがあるよ。
このまま老後を迎えて大丈夫なのか、今入っている保険は適切か、相続が発生したらどうしたらいいのか、みたいにね。
実はそんなお金の様々な悩みにアドバイスをする専門家がいるんだ。

専門家?

うん。
それがファイナンシャル・プランナーだよ。

ファイナンシャル…?初めて聞いたよ。

ファイナンシャル・プランナー、通称FPは、私たちの将来の夢や目標を資金計画の面から支えるアドバイザーなんだ。
だから、同じ悩みをFPに相談した人がいるかもしれないね。
FPが顧客に対して守るべきこと

FPは様々な事に注意しながら顧客にアドバイスを行うよ。そんな注意点の一部がこれだ。
- 顧客の利益を一番に考えること(顧客利益の優先)
- 守秘義務を守ること(守秘義務の順守)
- 顧客に対して説明義務があること(アカウンタビリティ)
それぞれ説明していくね。
FPは、顧客の利益を一番に考えて提案を行うよ。
例えば、FPが紹介する保険や投資などの金融商品の中には、FP自身に報酬が入るものがある。それをFP自身の利益のために提案するのはNG。提案は顧客の利益の最大化を考えて行おう。
FPは顧客から沢山の個人情報を預かるんだ。でも顧客の許可なくそれを漏洩してはいけないよ。
特に個人情報は個人情報保護法という法律で守られているんだ。その規制対象となる個人を特定できる情報(氏名・住所・生年月日・マイナンバーなど)の取り扱いには十分に注意が必要だよ。
顧客に伝わる言葉を選び、しっかり理解してもらえるよう説明しよう。

顧客に向き合うときの心構えって感じだね。
FPができることとできないこと(独占業務)

独占業務って知っているかな?資格を持つ人にしかできない仕事のことなんだ。
一般的な説明や仮のお話しは資格がなくてもできる。でも、個人的な事に具体的に踏み込むと独占業務に抵触してしまう恐れがあるよ。
だからFPはその資格に関係する法律に触れないように注意が必要だよ。

これらは金銭の受け渡しの有無とは無関係だよ。

資格のない人は手を出してはいけない領域、それが独占業務なんだね。

FPが特に注意すべき法律はこれだよ。
- 税理士法
- 弁護士法
- 社会保険労務士(社労士)法
- 保険業法
- 金融商品取引法

では資格のないFPがやってはいけないこと、やっていいことをそれぞれ見ていこう。
無資格者が行ってはいけない業務(独占業務)
- 他人の確定申告書の作成
- 税務署への申告・申請の代理
- 個別具体的な税務相談(節税方法など) など
- 個別具体的な法律相談(例:家族間の相続でもめた時の調整など)
- 一般の法律事務
- 法律文書の作成 など
- 年金請求や社会保険の申請書類の作成・提出代行
- 労働保険関連の手続き支援 など
- 保険商品の勧誘・販売
- 保険設計や契約手続きの代行 など
- 投資助言や運用代行
- 特定銘柄の推奨や売買指示 など
無資格者でも行える業務(FPとして可能な範囲)
- 一般的な税制の説明(例:所得税の仕組み、控除の種類など)
- 仮定の数値を使った税額シュミレーション
- 税金に関する教育・セミナーの開催 など
- 民法や相続制度の一般的な説明
- 任意後見人になること
- 公正証書遺言の証人になること など
- 年金制度や社会保険制度の一般的な説明
- 仮定の数値を使った年金受給額の試算 など
- 保険の種類や仕組みの説明
- 保険の見直しに関する一般的なアドバイス
- 仮定の条件での保険料の試算 など
- 投資商品の一般的な説明(例:株式、投資信託、NISAなど)
- ライフプランに基づく資産形成の考え方の提案 など

繰り返しになるけれど注意しようね。
一般的な説明や仮のお話はできるけど、個別具体的なお話はNGだよ。
わたしたちと身近な法律

こんなに沢山の決まりや法律に気を付けながら、FPは業務を行うんだね。

そうだね。様々な知識があれば様々な悩みにアドバイスできるから、FPは沢山のことを覚えるんだ。
わたしたち自身も、覚えておいて損のない法律があるよ。
まずはわたしたちを守ってくれる法律を2つ紹介するね。知っておけば安心につながるよ。
消費者契約法
一般個人の消費者が結ぶ契約を保護する法律。だから事業を営むもの=事業者(個人事業主・法人)は対象外だよ。
例えば、こんな場合は契約の該当する部分を無効にできるよ。
・事業者が「事業者はどんな場合にも責任を負いません」など、消費者が一方的に不利になる内容を契約に盛り込んでいたとき。
契約の取り消しができる場合があるよ。
・例えば訪問販売員が帰らずに困ってしまい仕方なく契約したとか、未来のことをまるで確実かのように「絶対に儲かる!」と伝えて契約させたときなど。
金融サービス提供法
金融商品に不慣れな人を守るための法律。だから個人も事業者もどちらも保護の対象になる。もちろんプロの人は対象外だよ。
顧客の利益を保護したり、事業者に適正な販売や勧誘をさせるための法律だよ。だから事業者は顧客が正しく理解できるように、商品について重要な部分の説明をしなくてはいけないんだ。
重要事項の説明がされなかったり、虚偽の説明を受けた顧客が損害を受けた場合、事業者は損害賠償責任を負うよ。
ほとんどの金融商品が対象だけど、一部対象外もあるから気を付けよう。(例:ゴルフ会員権、金地金、国内商品先物取引)
著作権法

注意したい法律でもあり私たちを守ってくれる法律でもある著作権法を覚えておこう。
他の人の本やブログが素敵で、その文章や図を自分でも使いたくなってしまうことってあるよね。
でも著作物は著作権で守られていて勝手に使うことはできないんだ。引用にもルールがあるよ。
公共財である法律の条文や判決文や、国や地方公共団体が発表している資料は使っても大丈夫だよ。

すごく身近な法律だね。
誰かが作ったものも、自分が作ったものも、きちんと法律で守られているんだね。
まとめ

それではまとめだね。
・資金計画の悩みはファイナンシャル・プランナー(FP)に相談できるよ。
・FPには顧客と向き合う際の3つの心構えがあるよ。
・資格を持っていないFPは独占業務に触れないようにアドバイスを行うよ。
・わたしたち自身が覚えておいて損をしない法律があるよ。

これがFPの基本のキだね。
なんだか、ぼくもっとFPについて知りたくなってきたよ。

よろこんで。
それでは次も基本となるお話を進めていくね。
